フッ素 (PTFE) 樹脂の特徴*

フッ素原子(F)が炭素原子(C)を覆いつくす強固なCF結合をもつ樹脂。これを東レ独自の製糸技術により繊維化したトヨフロン®は、フッ素 (PTFE) 樹脂ならではの多様な特性と機能を兼ね備えています。


PTFEの構造
フッ素原子(F)が炭素原子(C)を覆いつくす強固なCF結合を持つ。

耐熱性

フッ素系樹脂の中で最も優れた耐熱性

(1) 融点:327℃
(2) 常用使用温度:260℃
複数あるフッ素系樹脂の中でも、最も耐熱性に優れた素材です。

PTFE PFA FEP ETFA PVDF
260 260 200 150 150

主なフッ素樹脂の常温使用温度(単位 ℃)

耐薬品性

CF結合により発揮される耐薬品性

フッ素 (PTFE) 樹脂は、CF結合と呼ばれる強固な単結合で構成されており化学的に不活性なため、酸・アルカリ・有機溶剤などのあらゆる薬品に対して優れた耐性を発揮します。

低摩擦性

有機繊維中最高レベルの低摩擦性

(1) フッ素 (PTFE) 樹脂は何故滑りやすいか?

  • フッ素原子が炭素原子を隙間なく覆いつくしており、表面の凹凸がなくなめらか。
  • C-F原子の結合が安定しているため、分子間の相互作用が弱くなりずれやすい構造をしています。
  • 分子間の相互作用が弱い=削れやすいため、摩擦時に相手材に移着する事でフッ素(PTFE) 対 フッ素(PTFE) の摩擦となり更に低摩擦となります。

(2) 耐摩耗性を向上させた製品開発

  • フッ素 (PTFE) 樹脂は低摩擦性を活かしたすべり材(摺動材)として活用されるものの、削れやすい素材のために摩耗に対する弱さが課題となる場合があります。
  • 東レは、独自の技術により耐摩耗性を向上させた製品開発に成功。摺動材として数多くの産業分野で活用されています。

絶縁性

電気的特性

(1) 高い電気抵抗と絶縁耐力
あらゆるプラスチックの中で最も電気に耐える力が強く、高電圧下でも絶縁性を持続。
(2) 低誘電率・低誘電正接
(3) 耐アーク性
アーク放電(大電流低電圧放電)への耐性も持ち、絶縁破壊が起きにくい素材です。

特性 単位 JIS ISO ASTM試験法 PTFE
体積抵抗率 Ω•m (50%RH, 23°C) K6911 IEC060093 D257 10^18
絶縁耐力(短時間) MV/m 3.2mm厚 K6935 IEC60243 D149 19
比誘電率 (60Hz) K6935 IEC60250 D150 2.1
(103Hz) 2.1
(106Hz) 2.1
誘電正接 (60Hz) K6935 IEC60250 D150 0.0002
(103Hz) 0.0002
(106Hz) 0.0002
対アーク性 190 D496 > 300

出典:日本弗素樹脂工業会HP

このページで紹介している物性や用途は一例です。お客様のご要望に合わせて、様々な品種でご提案いたします。是非お問い合わせください。