PPS樹脂 トレリナ®

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Ⅰ. 耐熱性

東レPPS樹脂トレリナ®の優れた特長の一つは耐熱性です。Fig.1.2に他樹脂との耐熱性の比較を示します。Fig.1.2の横軸は熱変形温度です。これは短期の耐熱性の指標となり、例えば電子部品分野でのリフローハンダ工程での耐熱性の目安となります。熱変形温度は、非結晶性樹脂の場合はガラス転位温度に依存し、強化結晶性樹脂の場合は融点に依存します。表1.1に各種樹脂の融点およびガラス転位温度を示します。東レPPS樹脂トレリナ®は融点が278℃で、260℃以上の高い熱変形温度を有します。

Fig.1.2 各種樹脂の耐熱性比較
Fig.1.2 各種樹脂の耐熱性比較

Table.1.1 各種樹脂のガラス転位温度と融点

材料 結晶化特性 ガラス転移温度(℃) 融点(℃)
トレリナ®PPS 結晶性 90 278
液晶ポリマー(LCP) 280~370
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK) 143 334
ナイロン66 50 260
ポリブチレンテレフタレート(PBT) 22 224
ポリアミドイミド(PAI) 非結晶性 280 -
ポリエーテルスルホン(PES) 225 -
ポリエーテルイミド(PEI) 217 -
ポリスルホン(PSF) 190 -
ポリカーボネート(PC) 150 -

一方、Fig.1.2の縦軸は連続使用温度です。連続使用温度は長時間(40,000時間)処理した後に強度が50%以上保持する上限温度を意味します。連続使用温度は長期の耐熱性の指標となり、例えば自動車エンジン近傍の高温環境下での耐熱性の目安となります。連続使用温度は樹脂を構成する化学結合の強さ、切れ難さに依存し、融点やガラス転位温度とは必ずしも対応しません。東レPPS樹脂トレリナ®の連続使用温度は200~240℃です。短期耐熱性、長期耐熱性いずれにおいても200℃以上の高い値を有する樹脂は極く限られています。

Ⅱ. 耐水性・耐薬品性

東レPPS樹脂トレリナ®は耐水性・耐薬品性にも優れた樹脂です。Fig.1.3に各種樹脂との吸水性の比較を示します。

Fig.1.3 トレリナ®と各種樹脂の吸水性比較
Fig.1.3 トレリナ®と各種樹脂の吸水性比較

PPS樹脂の吸水率は極めて低いことがわかります。これはPPS樹脂は結晶性が高く、また水との親和性の高い化学構造を持たないためです。そのためPPS樹脂は吸水による寸法変化や強度低下を起こし難い特長をもっています。また、熱水や各種溶剤に対する高い耐久性も有しています(Fig.1.4)。

Fig.1.4 東レPPS樹脂トレリナ®の耐薬品性
Fig.1.4 東レPPS樹脂トレリナ®の耐薬品性

Ⅲ. 難燃性

東レPPS樹脂トレリナ®は難燃性にも優れた樹脂です。Table.1.2に各種樹脂の限界酸素指数を示します。限界酸素指数とは素材が燃えるために必要な最低の酸素濃度を示す数値で、数値が高いほど難燃性の度合いが高いことを表しています。ガラス繊維強化PPSの限界酸素指数は47近傍であり、他の樹脂と比較し高いレベルにあります。

Table.1.2 各種樹脂の燃焼性

材料 限界酸素指数(%) UL難燃性クラス
ガラス繊維強化PPS 47 V-0
ポリエーテルイミド(PEI) 47 V-0
ポリアミドイミド(PAI) 43 V-0
ガラス繊維強化ポリエーテルスルホン(PES) 41 V-0
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK) 35 V-0
ポリスルホン(PSF) 30 V-2~V-0
ガラス繊維強化 ナイロン66 24 H-B
ポリブチレンテレフタレート(PBT) 21 H-B
ポリアセタール(POM) 16 H-B