ポリオレフィン発泡体 トーレペフ®

テクニカル情報 | 断熱性が優れている

熱的性質

Ⅰ. 使用可能温度範囲

トーレペフ®は電子線により架橋されているので、架橋のないものに比べて広い使用温度範囲をもっています。使用可能温度範囲は、使用目的によって異なり一概には決められませんが、最高使用温度は外観、寸法などの変化から見て連続使用の際には約80°Cであり、短時間または条件によっては100°C以上でも使用可能です。また低温で折り曲げ試験(マンドレルテスト)を行なった結果では、グレードによって多少異なりますが-70~-100°Cの範囲で脆性破壊を示します。ポリスチレンフォームが、常温付近で脆性破壊を示すのに比べると、著しく脆化温度の低いことが分かります。トーレペフ®は低温倉庫やブライン配管などの保冷に好適に使用されており、-196°C(液体窒素温度)の保冷に使用されている例さえあります。耐熱グレード(PP)の最高使用温度は、連続使用で約120°Cですが、耐寒性についてはPEグレードよりも劣り、低温折り曲げ試験の結果から見て-20°C前後で脆性破壊を示します。

Ⅱ. 寸法変化

-20°Cおよび80°Cにおける寸法変化曲線を図1に示します。加熱によって長さおよび幅方向にやや収縮し、厚さ方向には膨長しますが、その程度は連続使用可能温度80°Cまでにおいてはごくわずかです。また冷却によっては気泡内ガス圧が減少するため長さ、幅、厚みとも収縮しますが、気泡壁を構成している樹脂が剛性を増してくるため、その程度は加熱の場合より一層僅少となります。

トーレペフ®(30060)の寸法変化曲線

80°Cに加熱後標準状態で1hr放置してから寸法測定。
-20°Cは低温室内で寸法測定。
図1 トーレペフ®(30060)の寸法変化曲線

Ⅲ. 線膨張係数

23°Cで平衡状態にある試料を-20°Cの低温室に入れ、収縮平衡後の寸法を測定し、これから線膨張係教を測定した結果は参考表(トーレペフ®主要グレードの一般的性質)に示すとおりであり、グレードによって多少の差はありますが、10-3 ~10-4/°C程度です。これは金属材料や木材と比較すると差はありますが(例えば銅では1.14×10-5/°C)、実際上間題となる断熱材用途では壁面に接着などの方法で固定されるので、弾性限界の高いトーレペフ®では実用上の支障をきたすことはありません。

Ⅳ. 断熱性

トーレペフ®は多量の空気を微細独立気泡の形で含んでいるので、すぐれた断熱性を示します。 例えば3リットル容細口ガラス試薬ビンの周囲を完全にトーレペフ®30060で包んだあと沸とう水を満たし、1°Cの低温室に入れて湯温の時間的変化を測定した結果は図2に示すとおりです。まったく保温しなかった場合に比べて温度低下がきわめて少ないことがわかります。

図2 保温効果例(外気温度θ0=1°C)

80°Cに加熱後標準状態で1hr放置してから寸法測定。
-20°Cは低温室内で寸法測定。
図2 保温効果例(外気温度θ0=1°C)

保護熱板法(JlSA1412)により、トーレペフ®30060融着品の熱伝導率を測定した結果、図3に示すような平均温度と熱伝導率との関係線図(θ-λ線図)を得ております。 その他のグレードについて熱伝導率を測定した結果は参考表(トーレペフ®主要グレードの一般的性質)に示すとおりです。

図3 “ト-レぺフ”30060融着品の温度と熱伝導との関係

図3 “ト-レぺフ”30060融着品の温度と熱伝導との関係

定常状態の熱伝導において温度分布を決定するものは熱伝導率ですが、温度(例えば外気温)が時間的に変化するような実際の場合には、温度拡散率κ(=λ/cρ)によって決定されます。温度拡散率が小さいほど環境温度の変化に対するレスポンスは遅くなり、実際上重要な性質です。 表1に、トーレペフ®30倍発泡品の熱伝導率および温度拡散率を他の保冷材と比較して示します。トーレペフ®の温度拡散率は、他のプラスチックフォームと密度をそろえて比較すれば最も小さいもののひとつであると考えられます。表2に長尺屋根の結露防止のために必要なトーレペフ®の厚みについて示します。結露防止に必要なK値は次式により計算できます。



ただし、
K:壁体の熱貫流率(W/m2・K)
θi:室内温度(°C)
θo:外気温度(°C)
θd:室内温度と湿度で決まる露点温度(°C)
αi:室内側表面熱伝達率(W/m2・K)
K値が求まれば次式により結露防止に必要な断熱材の厚みが計算できます。


ただし、
d:壁体構成材料の厚み(m)
λ:壁体構成材料の熱伝導率(W/m・K)
αο:外気側表面熱伝達率(W/m2・K)
なお断熱計算および結露防止計算の詳細につきましてはご相談ください。

表1 各種保温保冷材の熱伝導率と温度拡散率
種類 みかけ密度ρ(kg/m3) 比熱c
(×102kgK)
熱伝導率λο
(W/mK)
温度拡散率χ
(m2/h)
トーレペフ®30倍発泡品 33 23.0 0.031 15×10-4
グラスウール 20 8.4 0.035 75×10-4
ポリスチレンフォーム 20 13.4 0.034 45×10-4
硬質塩ビフォーム 35 15.9 0.037 33×10-4
フェノールフォーム 35 15.9 0.031 20×10-4
コンクリート(参考) 2200 8.8 1.5(20°C) 28×10-4
表2 長尺屋根の結露防止のために必要なトーレペフ®の厚み
室内 屋根近傍 露点温度
θdh(°C)
トーレペフ®必要厚み|(mm)
外気温θο(°C)
温度θi
(°C)
湿度θ
(%RH)
温度θn(°C) 湿度ψh
(%RH)
-5 -10 -15 -20
10 50 12.8 42 0.1 0.3 1.8 3.2 4.6
60 50 2.7 1.6 3.4 5.2 7.0
40 58 4.5 3.0 5.2 7.3 9.5
80 67 6.7 5.8 8.7 11.7 14.6
15 50 18.7 40 4.5 1.3 2.6 3.9 5.1
60 47 7.2 2.7 4.3 5.9 7.4
70 55 9.5 4.6 6.5 8.5 10.4
80 63 11.7 7.5 10.0 12.6 15.2
20 50 24.6 38 9.1 2.2 3.3 4.5 5.7
60 46 12.0 3.8 5.2 6.6 8.0
70 53 14.1 5.5 7.2 8.9 10.6
80 60 16.4 8.3 10.5 12.7 14.9

(棟高10m、強制式温風暖房の場合)

Ⅴ. 燃焼性

  1. 燃焼速度
    トーレペフ®の標準グレードは特別の難燃処理を施していないので可燃性です。しかし素材樹脂が熱安定性に富んだプラスチックであるためASTM D1692による燃焼速度はグレードにより4~10cm/minの程度であり、同一条件で行なった難燃処理をしていないポリスチレンフォームの20cm/minに比べれば著しく小さいことが分かります。また燃焼時、他のプラスチックフォームと異なり黒煙の発生の少ないことも特長的です。 トーレペフ®を亜鉛またはカラー鉄板に厚み4mm以下、重量130g/m2以下、工場熱融着の条件で貼合せた材料は準不燃第2024号「軟質フォームプラスチック貼り亜鉛鉄板」として防火材料の認定が得られています(SRグレード)。さらに亜鉛鉄板、フレキシブルボード、石こうボードなどの不燃材料でサンドイッチし、あるいはセメントプラスタやモルタル仕上げをして使用すればいっそう安全です。ほかにUL94HF-1に適合するFR-ULグレード(タイプAE70)を用意しております。
  2. 発火および引火温度
    トーレペフ®30060について電気炉加熱により測定した発火温度および試験管加熱、ガスライター点火により測定した引火温度を軟質ウレタンフォームおよび杉板と比較して表3に示します。トーレペフ®は発火および引火に対する抵抗性の面からみると軟質ウレタンフォームよりすぐれ、杉板に比べて遜色がありません。
  3. 延焼安全限界および使用可能限界輻射密度
    家屋類焼の原因のひとつとして輻射熱による自然発火をあげることができます。赤外ランプによる加熱試験により、発火に要する最小輻射密度(延焼安全限界輻射密度)を測定した結果、表3に示すようにいずれも63,000KJ/m2hrの輻射密度で加熱しても発火することはありませんでした。 しかしこのような輻射密度では、トーレペフ®およびウレタンフォームは熱分解による溶損が著しく起こり、杉板は無炎発火し焼損するので、いずれも再使用はできません。同様の方法によるトーレペフ®の再使用可能な輻射密度は34,860KJ/m2hrであり、杉板とウレタンフォームとの中間にあります。
表3 トーレペフ®の耐火性能
項目 “トーレぺフ”30060 軟質ウレタンフォーム
(黒色難燃化品、ρ=0.030)
杉板
(中古気乾板)
発火温度
(°C)
470 470 500
(無炎発火温度は350°C)
引火温度
(°C)
360以上 310 310
延焼安全限界輻射密度
(KJ/m2・hr)
63,000以上 63,000以上 63,000以上
使用可能限界輻射密度
(KJ/m2・hr)
34860 21,000 54,600

※本データは特定条件下で得られた測定値の代表例です。数値は規格として利用できません。