PBT樹脂 トレコン®

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機械的性質

東レPBT樹脂トレコン®の結晶化度は、通常の成形条件下で成形された場含には35~45%の範囲にあり、他の結晶性樹脂にくらべて機械的性質の成形条件依存性は小さいといえます。また、吸水率もきわめて低いので吸水による機械的性質の変化を考慮する必要はありません。

Ⅰ. 引張特性

東レPBT樹脂トレコン®1401×06の破断伸びは常温では300%と大きく、ねばり強い性質をもっています。
東レPBT樹脂トレコン®は耐熱性のすぐれた樹脂ですが、他の熱可塑性樹脂と同様に引張特性は環境温度によ って影響をうけます。図1に1401×6と1101G-30の引張強さの温度依存猿を、図2に1401×06の引張強さのひずみ速度依存性をそれぞれ示してあります。1101G-30のようにガラス繊維強化グレードは、高い機械的性質を示しますが、破断伸びは3~5%と低い値を示します。

  • 図1 引張強さの温度依存性 図1 引張強さの温度依存性
  • 図2 1401×06のひずみ速度依存性 図2 1401×06のひずみ速度依存性

Ⅱ. 曲げ特性

東レPBT樹脂トレコン®の曲げ特性は他の熱可塑性樹脂と同様に環境温度によって影響をうけます。
図3に曲げ強さの温度依存度を、また、図4に曲げ弾性率の温度依存性をそれぞれ示します。

  •  図3 曲げ強さの温度依存性 図3 曲げ強さの温度依存性
  • 図4 曲げ弾性率の温度依存性 図4 曲げ弾性率の温度依存性

1101G-30は130°Cにおける曲げ強さが95MPa、曲げ弾性率が約3.5GPaであり、高温時でも機械的性質がすぐれ たグレードです。

Ⅲ. 衝撃強さ

東レPBT樹脂トレコン®は衝撃にも強い樹脂です。表2に各グレードの衝撃強さを示します。
ノッチ付きアイゾット衝撃強さは他のエンジニアリング樹脂とくらべて高いとはいえませんが、実用的な耐衝撃性の判断尺度といえる落錘衝撃強さはきわめて高く、例えばポリアセタール樹脂の40倍以上です。

表2 東レPBT樹脂トレコン®の衝撃強さ
項目 単 位 非 強 化 ガラス繊維強化
1401×06 ポリアセタール 1101G-30
引張衝撃強さ a) kJ/m2 310 260 -
落錘衝撃強さ b) N・m 17 0.4 0.4
アイゾット衝撃強さ        
ノッチなし c) kJ/m2 NB - 6.5
ノッチあり d) J/m 50 60 80

a)ASTM D1822 S型ダンベル 1/8"厚
b)40mmφ、22mm tの円板、落錘先端5mmR
c)1/8"厚
d)1/2"厚

図5に衝撃強さの温度依存性を示します。東レPBT樹脂トレコン®は低温でもすぐれた衝撃強さを維持しています。

図5 衝撃強さの温度依存性

図5 衝撃強さの温度依存性

Ⅳ. 耐クリープ特性

図6 引張クリープ曲線

図6 引張クリープ曲線

応力のかかった状態で長時間使用される場合、クリープ破壊およびクリープ変形が問題となります。
図6に東レPBT樹脂トレコン®の引張クリープ曲線を示します。
東レPBT樹脂トレコン®は耐クリープ性のすぐれた樹脂ですが、とくに高温、高応力下で使用する場合にはガラ ス繊維強化グレード(1011G-30)が適しています。

Ⅴ. 耐疲労度

図7 疲労曲線

図7 疲労曲線

東レPBT樹脂トレコン®は耐疲労性のすぐれた樹脂です。図7に耐疲労性(片持曲げ疲労試験)を示します。
非強化一般グレード1401×06は熱再塑性樹脂の中でもっとも耐疲労性がよいといわれるポリアセタール樹脂よりもさらにすぐれています。
繰り返し数107回における1401×06の疲労強度は30MPa、1101G-30のそれは45MPaです。

Ⅵ. 耐摩擦,磨耗特性

東レPBT樹脂トレコン®は耐摩擦・摩耗性のすぐれた樹脂です。表3にポリアセタール樹脂との比較を示します。

表3 東レPBT樹脂トレコン®の耐摩擦・摩耗特性
項目 単 位 非 強 化 ガラス繊維強化
1401×06 ポリアセタール 1101G-30
テーバー摩耗量 a)   mg/1000サイクル 10 14 23
P V 値 V=23m/min MPa・m/min 20 23 -
  V= 5m/min   25 - 36
動摩擦係数 b) P=0.3MPa、V=23m/min   0.26 0.30 0.35
  P=1MPa、V=10m/min   0.30 0.35 -
定常摩耗量 b) P=1MPa、V=23m/min mg/(h・cm2) 0.50 0.57 -
  P=2MPa、V= 5m/min   0.80 0.80 -
比摩耗量 c) V=23m/min m3/(kg・m) 0.01 0.12 -
  V= 5m/min   2.0 3.6 -

a)ASTM DIO44、ホイールCS-17 荷重1000 g
b)鈴木式摩耗試験機、無潤滑、相手材 S45C
c)大越式摩耗試験機、荷車3.7kg、走行距離100m

Ⅶ. 耐候性

東レPBT樹脂トレコン®は紫外線劣化の少ない樹脂です。図8~12に1401×06、1101G-30の促進耐候試験および屋外曝露試験結果を示します。
1401×G6、1101G-30とも屋外曝露による物性低下および寸法変化は小さい樹脂ですが、とくに直射日光に長時間さらされる用途には他の樹脂と同様に、白又は黒に着色することをおすすめします。

  • 図8 屋外曝露による物牲変化(その1) 図8 屋外曝露による物牲変化(その1)
  • 図9 屋外曝露による物牲変化(その2) 図9 屋外曝露による物牲変化(その2)
  • 図10 屋外曝露による吸水率の変化 図10 屋外曝露による吸水率の変化
  • 図11 1401×06の耐候性 図11 1401×06の耐候性
    (サンシャインウェザオメータ照射)
図12 1101G-30の耐候性(サンシャインウェザオメータ照射)

図12 1101G-30の耐候性(サンシャインウェザオメータ照射)

Ⅷ. 耐ヒートサイクル性

表6、7に東レPBT樹脂トレコン®の耐ヒートサイクル性を示します。
1401×06、1101G-30ともに物性低下、寸法変化が少なく、耐ヒートサイクル性がすぐれています。
後述しますが、東レPBT樹脂トレコン®は一般的に熱水中で長時間使用される用途には、注意を払う必要があります。
しかし、表6、7の冷熱ヒートサイクル試験結果が示すように、間欠的にあるいは短時間熱水にさらされる用途なら使用可能です。

表4 東レPBT樹脂トレコン®のヒートサイクルテストa) (Ⅰ)
項目 単 位 1401×06 1101G-30
試験前 15サイクル 30サイクル 試験前 15サイクル 30サイクル
引張強さ MPa 56 50 49 140 130 130
引張破断伸び % 300 280 270 4.2 3.8 3.8

a) 1サイクルは、室温(1h) →沸騰水 (1h) →室温 (1h)

表5 東レPBT樹脂トレコン®のヒートサイクルテストa) (Ⅱ)
項目 単 位 1401×06 1101G-30
試験前 試験後 試験前 試験後
引張強さ MPa 56 52 140 136
引張破断伸び % 310 300 4.0 3.6
衝撃強さ ノッチなし b) kJ/m2 NB NB 65 55
吸 水 率 % - 0.29 - 0.21
寸法増加率 % - -0.12 - -0.01

a) ヒートサイクル条件
 沸灘水(2h) →0°C水(2h)を1サイクルとして3サイクル
b) 試験片 1/2"厚